葬儀後の諸手続きについて ・・・事前に知っておきたい方のために
1)会社在籍中の死亡の場合
故人が会社在籍中に亡くなった場合、会社との間で下記のような確認事項や手続きが必要になります。
・厚生年金保険、未払い給与、退職金などを確認します。
・死亡日付による年末調整を行い、源泉徴収票を発行してもらいます。
・身分証明書や書類の返却、ロッカーの整理などをします。
2)葬祭費や埋葬費などの受け取り
故人が加入していた国民健康保険や厚生年金保険、労災保険から、ご遺族に葬祭費や埋葬費などが支給されます。(保険の種類や病死か事故死かなどによって必要書類が異なります。)
※健康保険加入者が亡くなった場合は、そのご遺族が所定の健康保険に加入する必要があります。
※業務中(通勤中)に亡くなった故人が労災保険に加入していた場合、遺族補償給付の申請を行います。
3)生命保険の受け取り
故人が生命保険に加入していた場合、ご遺族に保険金が支給されます。
・生命保険に加入していた場合、被保険者氏名、保険証番号、死因、死亡月日を生命保険会社に連絡してください。その後保険金請求書が送られてくるので、必要書類をそろえて提出します。
・住宅ローン返済中に亡くなった場合は、保険金がローン返済に充てられます。
※保険金を受け取れないケースもあります。詳しくは各保険会社にご確認ください
4)年金の手続き
ご遺族は、故人が加入していた国民年金か厚生年金のいずれかより、条件に応じて支給を受けることができます。
【国民年金】
寡婦年金は、老齢基礎年金の資格期間を満たした夫が死亡したとき、10年以上結婚していた妻に60~64歳の間、夫の年金の4分の3に相当する額が支給されます。
死亡一時金は、保険料を3年以上納めながら老齢基礎年金・障害基礎年金を受けずに亡くなり、そのご遺族が遺族基礎年金を受けられない場合に支給されます。
※寡婦年金、死亡一時金は国民年金加入者に対する独自給付です
【厚生年金】
遺族厚生年金は、①厚生年金の被保険者期間中にある傷病がもとで初診日から5年以内に亡くなったとき、②1級・2級の障害厚生年金を受けられる方、③老齢厚生年金の資格期間を満たした方だった場合にご遺族に支給されます。
※遺族基礎年金が支給されないご遺族には、遺族厚生年金が支給されます
5)相続の協議
故人の遺言の有無を確かめます。遺言があり、しかもそれが法的に有効な場合は、相続がこの遺言に拘束されます。遺言は公正証書による場合を除き、家庭裁判所で相続人・代理人立ち会いのもと開封されます。
・遺言がない場合、もしくは無効である場合は、相続人同士が協議・分割することになります。
・相続できる方(法定相続人)の範囲や序列は法律で決められています。
・各相続人の権利は1年以内に行使しなければなりません。
・遺産相続トラブルを防ぐために、故人の戸籍謄本を14~15歳までさかのぼって取得し、相続人を正確に把握しましょう。前妻の子息、認知した子息などがいる場合は注意しましょう。
・借金も相続財産です。「借金だけ辞退」というのは認められません。相続を放棄する場合は、死亡から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きする必要があります。
【自筆証書遺言】
故人が遺言の内容・日付を書き、署名・捺印したもの。ワープロ・パソコンでのタイピングや代筆、日付がないものは無効になります。
【公正証書遺言】
公証人が作成した公正証書による遺言方式。公証人とは別の証人(2人以上)の立ち会いのもとで故人が内容を話し、公証人により筆記された公正証書に故人と証人が署名・捺印したものです。
【秘密証書遺言】
故人が署名・捺印した自筆証書遺言を封筒に入れて密封し、同じ印で封をしたもの。作成した遺言を2人以上の証人と公証人に確認してもらいます。
6)名義変更の手続き
個人名義の不動産、株券、自動車、預貯金などを相続した場合には、名義変更が必要です。期限について法律上の規定はありませんが、早めに対応しましょう。
【主な手続き窓口】
不動産→法務局
株券→証券会社
自動車→陸運事務所
預金・貯金→銀行・郵便局
7)相続税の申告・納付
相続した財産には相続税がかかります。ただし、なかには墓所や仏具、寄付金、公益事業用財産など、課税対象にならない財産もあります。
・財産は原則として時価で評価されます。
・時価には税務当局が定めた評価方法によって算定されるものがあり、不動産など現金に替えにくいものは通常取引価格の6~7割で評価されます。
・相続税は故人が亡くなってから10ヶ月以内に申告します。納税は申告と同時に行うのが原則です。
・相続税は延納や物納(国債、地方債、株券、不動産、船舶など)も認められています。
・遺産分割が決着しない場合でも、相続税納付の義務は発生します。
8)故人の確定申告
前年分の所得税の確定申告を行います。故人が確定申告をしていた場合、法定相続人が故人に代わって申告します。
故人が勤務していた事業所で源泉徴収している場合、確定申告は不要です。
9)医療費控除
1年間の医療費が一定額を越えた場合は、確定申告手続きの際に所得税の医療費控除が受けられます。医療費には、通院のための交通費や治療薬代なども含まれます。
・医療費控除の確定申告は5年までさかのぼれますが、支出・出費の申請書類は1年ごとに分けて提出しなければなりません。
・還付請求には原則領収書が必要ですが、ない場合は支払いの証明になりそうな資料(診察券、治療薬の袋、家計簿などのメモ)を税務署にご持参ください。相談に乗ってもらえることもあります。
・美容整形手術や健康診断・人間ドックのための費用は医療費控除に該当しません。