こんにちは。セレモマイホール1級葬祭ディレクターの林です。
昔(10年前位ですが・・・)と違って今は家族葬をされるお客様が増えてきました。中には、「家族葬なので、お香典はもらわない」と言う方もいらっしゃいますので今回は家族葬でのお香典の辞退とその注意点(気を付けたいマナー)とタイミングをお伝えしていこうかと思います。
少し長文になりますが、お付き合いの程よろしくお願い致します。
一般的なご葬儀では、お香典のやりとりが当たり前となっていますが、家族葬では香典辞退というケースもよく耳にします。結論から言うと、家族葬で香典辞退はしてもよいことになっています。ただ実際に辞退する際には、配慮しなくてはいけないこともあります。
はじめに家族葬について簡単にご説明しておきます。家族葬は、ご家族をはじめとする親しい方々のみでおこなうご葬儀のことをいいます。“家族”とついていますが、ご家族以外の方でも招待があれば参列することができます。訃報を知った方ならどなたでも参列できる一般葬とは違い、ご遺族様がご参列いただく方を限定しておこなうご葬儀のため、通常のご葬儀に比べ小規模になることが多いです。
本題に入る前に、まずはご葬儀におけるお香典の意味を理解しておきましょう。お香典は、通常、ご参列する方がお通夜か告別式に香典袋にいれて持参するものです。そこには、大切な方を亡くされたご家族様を気遣う気持ちや、故人様への生前の感謝の気持ちなどが込められています。つまりお香典とは、参列者の弔意の表れなのです。
余談ですが、弔意の示し方にはお香典以外にもいろいろあります。そもそも、ご葬儀へ参列すること自体が弔意の表明でもあるのですが、ほかにも祭壇のまわりに飾る供花や供物、ご葬儀に参列できないかわりにお送りする電報=弔電といった弔意の示し方もあります。また、ご遺族にお会いした際、「この度は御愁傷様でした。」とお声がけすることも、ささやかですが弔意の表現といえるでしょう。
このようにご葬儀では、故人と生前親交のあった方々が様々な方法で、ご遺族や故人への弔意を表します。中でも、金銭をお渡しできるお香典は、たとえ少額であっても残されたご家族を直接援助することができるため、大きな役割を果たしていると言えます。
冒頭でも触れたとおり、家族葬でお香典を辞退することはご家族様の自由です。家族葬は、「ゆっくりと故人と最後のお別れをしたい。」「形式にとらわれず、自由な葬儀がしたい。」という想いから選ばれているご葬儀スタイルですので、形式的なことは省略したいと思われるのも当然です。また家族葬においては、ご参列する方々もその点をふまえ、香典辞退の希望があった場合は無理にお渡ししようとせず、ご家族様のご意向に従うことがマナーとされています。
家族葬で香典を辞退する場合には、いくつか気をつけておきたいことがあります。前述の通り、香典は持参する方の気持ちが込められているため、せっかくのお気持ちをお断りする以上は、失礼のないようにしなくてはいけません。
家族葬で香典辞退をお伝えするタイミングはいくつかありますが、一番よいタイミングは、ご案内状に明記することです。事前にお香典の有無を明確にしておくことで、ご参列される方があれこれ悩む必要もなくなりますし、参列者全員に確実にお伝えすることができ、手間も少ないです。また、曖昧な表現ではなく明確にお断りすることが大切です。例えば香典だけでなく、供花や供物などあわせて辞退したいことがあればそちらもきちんと明記しましょう。その際、たとえ辞退の理由が香典返しの手間を省きたいからだとしても、「故人の意向により」など相手に失礼がないような表現でお伝えすることも大切です。
案内状に明記する場合
例)故人の意思により、香典、供花、供物はお断り申し上げます。
または、ご遠慮いただくようお願い申し上げます。
家族葬はご参列いただく方を限定しておこなわれるため、当日参列したくてもできない方がたくさんいらっしゃいます。その方々が、せめてものお気持ちをと葬儀社に供花などの連絡をしてくる場合があります。もし香典辞退の意向が伝わっていない場合、トラブルの原因にもなりかねませんので必ず連携するようにしましょう。意向を伝えておきさえすれば、葬儀社がきちんと対応してくれますのでご安心ください。
もしも案内状に間に合わなかった場合は、当日、会場でお伝えすることになります。受付の方が直接口頭でお伝えしてもよいですし、会場の見やすい位置に看板を用意しておくのも効果的です。看板は、葬儀社に相談すれば用意してくれることが多いです。また口頭でお伝えする場合も、丁寧にお断りしましょう。
葬儀当日に口頭でお伝えする場合
例)故人の意向で、お香典等はご遠慮しております。大変恐縮ではありますが、お気持ちだけ頂戴します。
いくら案内状でお伝えし、当日会場でお断りしても、中には「どうしても」というご参列者の方もいらっしゃるかもしれません。1〜2回お断りし、それでもということであれば、ありがたく頂戴するほうがよいでしょう。いただいた以上は、お香典返しをするのがマナーですので、忌明け後に、いただいた金額の半分程度の品物をお送りします。
ちなみに最近では、お香典返しのあり方にも変化がみられます。
先にも述べたように、お香典は参列者の弔意の表れであり、お断りはしにくいもの。とは言え、受け取った後のお返しは、葬儀後の疲れや各種手続きが残る中で非常に大変なものです。そこで、最近選ばれているのがお香典の「即返し」です。
この「即返し」とは、お香典を持参されたその日に、その場で、半額相当の返礼をすることです。返礼品は受け取り手の使いやすさも鑑み、カタログギフトにされる場合が多いです。
もちろん、この返礼の手続きや対応は、すべて葬儀社が責任をもって対応してくれるので、ご遺族に負担がかかることはほぼありません。
家族葬の場合、故人様と生前関わりのあった方すべてが会葬者というわけではありませんので、葬儀後に弔問に訪れたいというケースも多いです。そのためご参列いただく方以外には、ご葬儀後に訃報をお送りすることが多くなります。もしお香典や弔問を辞退したい場合は、訃報のご案内をするタイミングで次のような一文をいれておくとよいでしょう。
ご参列いただかない方々への訃報に添える文
例)誠に恐縮ではありますが、お香典、供花、供物、葬儀後の弔問はおことわり申し上げます。
また忌引休暇を取得する関係で、ご家族の勤務先には事前に電話でお知らせする必要があるかと思います。その場合にも、口頭で香典辞退の旨をお伝えするとよいでしょう。
勤務先への連絡
例)葬儀は家族葬で行う予定です。大変恐縮ですが、弔問、お香典、供花(きょうか)、供物(くもつ)などはお控えいただきますようお願い申し上げます。
いかがでしたでしょうか。ご葬儀にはお香典のやりとりをするのが当たり前と思っている方はまだまだ多いので、家族葬で香典辞退を希望される際には、明確に言葉や文字でお伝えするのがよさそうですね。またお香典返しの手間を省くという観点からは、即返しを活用してみるのも良い方法かもしれません。いずれにしても、お香典に込められた意味などを知っておくことで、相手のお気持ちに配慮した失礼のない対応ができると思います。家族葬で香典辞退を検討されている方は、ぜひご参考にしてください。